以前の記事で、本物のリーディングの力を身につける方法のStep3として「短文をたくさん日本語に訳す」という話をしました。
しかし、「英語は英語のまま理解するようにしよう」「英語脳を作るためには日本語で考えずに英語で考えることが大事」という声をよく聞きますよね。
中には「日本人が英語が苦手なのは学校で和訳ばかりさせられてるからだ」と言う人までいます。
わたしは、これらの考え方には否定的です。超上級者はともかく、一般的な英語学習者にとって「英語は英語のまま理解する」のはあまりに難しいことだと感じているからです。
ムリなことをやろうとして挫折して、英語が嫌いになってしまう日本人はきっと多いのではないでしょうか?最初のうちは、日本語を活かして英語学習を進めるのが効率的だとわたしは考えます。
そこで今回は、「英文を日本語に訳す練習の効果」についてお話したいと思います!
ひたすら和訳をしまくった高校時代
わたしの英語力の基礎は、間違いなく高校時代に「ひたすらいろんな英文を和訳したこと」によって培われたものです。
わたしは高校入学後、基本的な単語と文法をざっと学習したあとは「基礎英文問題精講」のような参考書や学校で使用している教科書の英文を一文一文、和訳していきました。
わからない単語があれば電子辞書で逐一調べながら、ノートに和訳を書いていきます。
参考書の解説を読んでも理解できない箇所があれば、文法書の該当箇所を確認(復習)し、授業を受けても腑に落ちなければ先生に質問していました。
これを繰り返すことで、リーディングに関してはかなりの力が付いたと実感しています。
中学のときはそれほど英語が得意というわけでもなく、単語なんて教科書に載っているものくらいしか知らない状態でしたが、高校の頃から少しずつ英語が得点源になっていきました(他の科目が出来なすぎただけでもありますが。)。
わたしが入学した大学では新入生全員がTOEICを受験しなければならなかったのですが、リーディングセクションで495点中440点(全体では755点)を取ることができました。
これは、基礎単語と文法(参考書1冊でOK)をおさえた上で、たくさん和訳をこなしていたからだと考えています。
どうして和訳をすると英語力が上がるのか
和訳が英語力を付けるのに効果的である理由、それは
「和訳は完璧に英文を理解していないと出来ないことだから」
です。
「英語を英語のまま理解する」、これはたしかに理想です。
でも、それは中学から英語を習い始めた私たちには、相応の訓練があって初めて可能なこと。
いきなり「日本語を介さずに英語を完璧に理解する」なんて無理な話なのです。
初中級者の段階で背伸びをして、和訳をせずに「英語のまま」理解しようとすると何が起きるか?と言うと、
「わかったつもり」になってしまい、いつまでも弱点を克服できない
という事態につながります。正確に言えば、「克服すべき弱点がどこなのかわからない」んですよね。
つまり、単語の意味をつなげて「なんとなくこんな雰囲気のこと言ってるな」で済ませることができてしまうと、自分の弱点(わかっていないところ)に気付く機会を失ってしまうのです。
でも、和訳はこの「わかったつもり」を許しません。
どこか引っかかるところがあると、日本語にはできないからです。
確かに、若干ぼかしながらとりあえずの訳を作ることはできるかもしれませんが、少なくとも「自分はここがよくわからないな」という部分に気付くことができます。
英語力を上げるには、「理解できないこと」を一つ一つ潰していくプロセスが必須。
和訳にトライすることによって、いやでもこのプロセスを経験せざるを得なくなるので、英語力が上がるのです。
「理解できないこと」と向き合うことは、正直面倒くさいと感じることもありました。
ちょっとくらいわからないところがあっても、「まあこんな感じだろう」と流してしまえば楽です。
ですが、それではいつまで経っても「なんとなく」でしか英語が理解できません。
和訳は、それをできないようにするという点でとても優れた学習法だとわたしは考えています。
和訳に慣れたらTOEICが簡単に思えるようになる
これまでお話してきたように、和訳は英文の完璧な理解を要求する、ある意味ハードな勉強法です。
これに対して、TOEICの長文問題というのは、
・答えに該当するところを見つけてそこだけじっくり読む(答えに関係ない箇所は流し読み)
・概要をつかむ
これら2つが出来れば、正解を導くことができます。
決して「英文の完璧な理解」が求められる試験ではありません。
そして、和訳の訓練を積み重ねている人にとって、「大まかな内容をつかむ」というのは少し練習して慣れさえすれば割と簡単にできてしまうことなのです。
実際、高校時代に和訳をしまくってきたわたしは、大学入学以降TOEICのリーディングのスコアが伸びずに悩む…ということはほとんどなかったです。
練習すればするほど、素直に点が伸びていく感じです。
わたしに英語の才能があったからではありません。(センスはないほうだと思います。授業中に先生に当てられて答えられないことが結構多かったので。)
それはすべて、和訳の練習を通じて「精読」の訓練をしていたから。自分の苦手を潰していたから。
これに尽きると思っています。
まとめ
今回は、和訳はリーディング力・英語力アップに非常に効果的な勉強法であるということをお伝えしました。
特に初中級者の時期にこれを徹底的にやっておくと後がとても楽ですから、ぜひ取り入れていただけたらと思います。